「母さんの前で止めろ!
母さんは何も知らないんだ…」


「悠真どういうこと?
学校を辞めようとしていたって」


悠真が、必死に堪えていた感情を抑えきれなくなり、爆発したように私に怒鳴った。

悠真のお母さんが、驚いた表情を浮かべると…

すぐさま悠真に問い訊ねた。


私…悠真のお母さんの前で、要らぬこと言っちゃったんだ。

学費を払えなくて、悠真が学校を辞めようとしていたこと、悠真が自分で話す訳ないよね・・・



だって悠真は、お母さんが心配するようなことはしないから。


そういう選択があったとしても、悠真は避けてきているはず!



「母さんには関係ないだろ?
これは俺自身の問題なんだ!」


「いい加減にしなさい!
いい加減目を覚ましたらどうなの?」


悠真のお母さんは、心配をかけさせない悠真を叱っては、頬を叩いた。

悠真はお母さんに初めて打たれた顔をして、頬を押さえてる。



「母さん…」


「お母さんは、何としてでも悠真に高校を卒業してもらいたいの!

お母さん、薄々気がついてた
悠真が留年していた時だって、悠真が学校を休んで遅くまでバイトをしていたこと、お母さんが知らなかったと思った?

ごめんねぇ、こんなお母さんで…
お父さんと別れてから、家計が厳しくなって、何一つ悠真には、裕福な暮らしをさせてあげれなかった

バイト代が出れば、悠真はその半分を家計の足しに って渡してくれたよね?

お母さん、自分の手で何とかしたくて、悠真がくれたお金には、一千も使ってないの

いつか悠真が大人になった時に渡したくて、コツコツ貯めてた

悠真がこんなことになるんだったら…お母さん、早く悠真に手渡すべきだった

お母さんが甘かったよ、本当にごめんね…
悠真…」


「母さんは何も悪くない!
俺が勝手に決めたことだから

それに、バイト楽しいし!全然苦じゃないよ?
でも…前までは学校よりバイトの方が好きだった

だけど今は…学校が楽しくて、学校が好きになった

美莉亜に会えるし、美莉亜の笑った顔を見ると 俺…
また明日から頑張ろう!っていう気になるんだ!


俺は、今の生活に満足してる

だって俺には、母さんと美莉亜が傍にいるから!」


「悠真…
お母さんを泣かせること言わないでちょうだい!
悠真はお母さんにとって、自慢の息子よ!」


悠真のお母さんはそう言いつつも、目に涙を浮かべ、悠真を抱き寄せては優しく抱き締めた。



悠真が言ってくれた言葉があまりにも嬉しくて、思わず感激してるんだ。



私ももらい泣きしそう・・・。

ていうか、すでに泣いてるんだけどね。