「あ!でも私…
この後バドミントンの試合があるし、私が出ないとゆずきや明日香が困ると思うから
それに、学校から出たら先生に怒られるじゃん…」


十一時半過ぎから、バドミントンの試合があることすっかり忘れてた。
一年生の頃なんか、試合に出たくないからって、違ったバスに乗って最終地点まで行ったことがある。

その頃は担任の先生が女性だったから、笑って許してくれるかなぁ~って思って電話したら・・・

"今すぐタクシーに乗って学校に来なさい!"って怒られたっけ?

結局はバスで学校に向かったんだけど、着いた途端…チームメンバーには笑われ、その挙げ句先生が"美莉亜の代わりに点呼の確認で挨拶しておいたから~!!
私、まだまだ高校生やれるかも!"って言っている先生が、本音を言い過ぎていて少し引いちゃったけど。

でも…あの時の先生、可愛かったなぁ。
私のチームメンバーにすごい馴染んでたから。

高校生に戻ったみたいに、男子生徒に このこのーって、ツンツンしてるし。
本当に年齢と違って若いよね。



「試合なら俺が出るよ!
先生や校長には俺が話しとくから、問題ないだろ?」


私が断り文句を言うと、篠塚蓮がいかにもカミングアウトするかのように、万全やる気が入っていた。

私は笑って吹き出さないように、紅茶の入ったティーカップに顔を近づける。
最初は飲む振りをしようと思ったんだけど、紅茶を目の前にすると次第に喉が渇いちゃって………

結局は飲んじゃった。
吹き出さない以前に、篠塚蓮が変なこと言わないかな?と祈るばかり…。



「てか、何で篠塚くんが女子の試合に出ないといけないの?まるで変態だよ!?

もしかしてゲイ………?」


私は薄々勘づいてしまっている。
しかも、それが口にまで出ちゃってるし。

思わず口角がニヤけてしまうよ・・・


「んな訳あるかよ、俺は男だって言ってるだろ?
いつでも神崎さん襲えるんだからな

襲われたくなかったら、早く悠真に会いに行けよ!
悠真に助け求めろよ!」


そっかー!現に同性愛とかゲイだったら、私を襲ったりしないかぁー。

"襲われたくなかったら、早く悠真に会いに行けよ!"

って…
まるで私の背中を、後押ししてくれているみたいに聞こえる。






案外篠塚蓮って、いい奴じゃん!!!