「誰?」


低く、そして少し眠たく疲れたような声で、そう言いながら校長室の扉を開けた篠塚蓮。

篠塚蓮が私だと気づいた瞬間、壁に凭れるように左腕を置き、私を手招きする。

上目使いで、優しくニッコリと微笑んで。


「神崎さん、待ってたよ!
まぁいいから入れよ」


「私は悠真の話を訊きに来ただけなので、ここで結構です!」


「ふ~ん
中に入んないなら、俺が深瀬について話す事はない

帰れ!」


「じゃあ単刀直入に訊くけど、悠真の居場所を知ってるの…?」


「あぁ、もちろん知ってる
そこで俺は神崎さんに頼みごとがあって、この場所に呼んだんだ!

だから俺の話を聞いてくれ!
聞くだけでもいいから
なぁ?いいだろ?」


篠塚蓮が私に頼みごとって何だろう?
頼みごとなら他の場所でもいいのに、何であえて校長室何だろう?

本当にそれだけで済めばいいけど。


「分かりました!篠塚くんがそこまで言うのなら…

その代わり、私に何もしないって約束してくれますか?」


「それはどうだろ
俺男だからさ、もし神崎さんを襲っても、俺を責めないで?
あ!でもこれだけは言える

俺こう見えて、好きな人いるから!
だから大丈夫さ」


篠塚蓮が少し冗談混じりにそう言うと、舌をペロッと出し、私の手を引いて校長室に連れ込んだ。


それより篠塚蓮って、好きな人いたんだ・・・。


何か意外………

篠塚蓮も恋するんだね!!