「中島くん、ハンカチありがとう!」


ゆずきが嬉しそうにそう呟き、リュウのハンカチを優しく握りしめた。

リュウの温もりを感じているのかな…?


「お、おう!
それより早く涙拭けよ
俺、泣いてる女の気持ちがよく分からないんだ…」


真剣な眼差しで、そうゆずきに向かってボソッと呟いたリュウは、再びポケットに両手を突っ込んでは、恥ずかしそうに頬を赤面させ辺りをウロウロしている。


本当はゆずきがリュウのことが好きだって、分かってるくせに…

薄々気づいているくせに…

自分で照れてるくせに…



リュウは自分の口から一切話そうともしない。


リュウはまだ私のこと、好きとかそんなんじゃないよね…?



だったらどうして。



リュウの心の気持ちが分からないよ。

さっきリュウが、泣いてる女の気持ちがよく分からないって言ってたけど…



それは男も女も皆一緒。



分かろうとしても、分からないのが現実なんだ。