「夏海先生、御結婚、誠におめでとうございます

悠真のことについても、色々とありがとうございました
私、今までずっと…悠真に甘えてばかりで、悠真の辛さを知ろうともしなかった。

でも傍にいると時より感じるんです…
悠真じゃないもう一人の悠真がどこかに居そうで、私正直言って、怖かった

一番最初出会った時からずっと、六年前に私を助けてくれた悠真とは全然違ってて…

あの時は本当に、素の悠真だったんです

悠真が六年前に私を、知らない人から助けてくれたことを教えてくれていなかったら、私…
悠真だって分からなかった

まさかあの時に私達が口約束をしていただなんて、本当に忘れていたし…


でも私は、悠真を好きになってしまった
この恋は、何があっても終わらせたくない、絶対に。

私は夏海先生に、悠真をこれから先も、ずっと支えると誓います!

夏海先生がこの学校を去るときに、悔いがないよう、優しく送り届けたいんです!

夏海先生…」


「美莉亜ちゃんが深瀬くんを想う気持ち、存分に伝わってきたよ!
今の深瀬くんは…自分を保つのに一生懸命で、周りがよく見えていないかもしれない
そのせいで、時より何かを失いかけている

でもね、美莉亜ちゃんが思っているより、深瀬くんはずっと強い子だよ?

深瀬くんを見てて、辛くて苦しんでいても、深瀬くんの隣に美莉亜ちゃんがいるから、いつも素で幸せそうに笑ってたの。

本当に、今の自分を忘れるくらい、ニコッと笑ってた

今の深瀬くんを笑わせられるのは、美莉亜ちゃんしかいないの!

先生、深瀬くんと美莉亜ちゃんの恋をずっと陰から応援しているから、頑張ってね!

二人なら、きっと大丈夫だよ!

頑張れ!美莉亜ちゃん!

私もね、美莉亜ちゃんや深瀬くんや、この学校の人達に会えなくなるのは寂しいけど、いつも皆の心は一つだよ!

それだけは忘れないでね?

離れていても、心はずっと平行線のように真っ直ぐで、皆を繋いでいるから。」


「夏海先生、ありがとう
私、頑張るよ!

上手く言えないけど、真が真っ直ぐで心の強い子になる!」


「うん!
美莉亜ちゃんの成長を楽しみにしてるわ!」


「夏海先生、私ごとなんですけど…

お腹を撫でてみてもいいですか…?

私、初めてなんです!妊婦さんのお腹を撫でるの…」


「美莉亜ちゃん、触ってみて!
まだ性別は分からないけど、美莉亜ちゃんの声、絶対この子に届いていると思うから」



そう言った夏海先生は私の手を掴むと、優しく、少し大きくなったお腹に手を当て、そのまま私の手を放した。



お腹からじわじわと伝わってくる、小さな命の音。
耳で聴こえなくても、心で伝わる。


小さな体で、一生懸命、必死に生きようとしているんだね…


本当に温かいなぁ。