体育館に着くと、私達はジグザグしている階段みたいな所に座った。

この学校は珍しいことに、二階に往き来出来る階段がある。

体育館なのに…すごく段数が長く感じる。


階段に座るのと同時に、明日香が秀太くんの姿を見つけると、でっかくて可愛らしい声を張り上げた。


「秀太~頑張れ~!
秀太~~~

キャー!!すごい♪秀太がシュート決めたよっ」


「本当にすごいね!私、サッカーあまり知らないけど、試合見てるの楽しい!!」


明るく自分を演じてるけど、本当は………


明日香と秀太くんがリア充すぎて、私完全に浮いてる。

だってシュート決めた時…
明日香って名前呼んで、手振ってたんだもん。



友達が幸せであるのはすごく私だって嬉しいけど、辛いっていうか、この場所に居たくない気分。


苦しくなるから___


そして気を紛らわす為に、私は隣にいるゆずきに話かけようとしたが、ゆずきの姿が見当たらなかった。



「明日香、ゆずき知らない?」


「多分、中島くんの試合見てるんじゃないかな?」


一瞬明日香が私の顔を見ては、すぐさまサッカーの試合にのめり込んでしまった。


よほど秀太くんのことが好きなんだね!


私も邪魔しないようにおいとましよう・・・



「明日香、ちょっとゆずきの所に行ってくる!」


「分かったよ」


少しめんどくさそうにそう呟いた明日香。

何だか冷たく突き放された気分を感じた。


別にいいんだけどね………。





友達だから、どうでもいいことでも楽しく話し合えるし


友達だから、ずっと仲良く一緒にいたいと思う。


友達だから、喧嘩しても時間が経てば、自然と仲直りしているし


友達だから、その子を応援したくなる。


友達だから、必ずしも傷つかないとは限らない。


友達だから、ずっと一緒にいるとは限らない。


友達は時に恐ろしく、裏の顔を持つ。