帰り道を歩いていると、空き地の芝生にうっすらと乗っかるように、雪が掛かってた。

この雪も後数分後には、溶けて消える。

初雪って、存在感を残さないから…
外出していなかったら、いつ雪が降ったのかを知らぬまま時が過ぎてしまうよね。



*****


そんなことを思いながらも無事家に着くと、お姉ちゃんが私が帰ってきたことに気がついたのか、玄関にひょこっと顔を覗かせた。



「おかえり!美莉亜」


「ただいま!お姉ちゃん」


「どうしたの?その顔…
目赤く腫れてるけど大丈夫?何かあった?
お姉ちゃんで良ければ話聞くけど…」


「何でもないよ?
ありがとう、心配してくれて」


私はそう言うと…
靴を脱ぎ捨て、靴を整頓してからリビングに入ろうとした。


お姉ちゃんの横を通ろうとした瞬間…

お姉ちゃんに腕を掴まれ、そのまま優しく抱き寄せられる。



私は目を見開き、驚きを隠せないままただずっと、お姉ちゃんの温もりを感じていた。


背丈の高さも、腕の温もりもお母さんとそっくり。

体格や顔の輪郭が違っていても…

まるでお母さんに抱き締められている感覚に陥った。