「まだ着かないの?」

さっき言った問いに何も答えないで、スタスタ歩き進める篠塚くんを見ると、何だか怖くなり…

もう一度訊いてみることにした。


「もう着くよ!この教室の中に入って!」


篠塚くんがようやく立ち止まり、教室に手を向けどうぞ!と私を誘った。








本当にここに悠真が・・・?


私は篠塚くんに指示された通り、教室の中に入った。

教室に入ったのと同時にすぐさま古びた扉を、カガガッと音を立て篠塚くんが閉める。


中に入ると、黒板にパーティーの始まりと書いてあり、そして色々な形や色をした風船が浮き上がっていた。


机は円く並べられていて、一つだけ机がないため…

机と机の間に隙間ができ、人一人くらいは通れるスペースになっている。




でもこの教室のどこにも肝心の悠真がいない。


窓はカーテンで遮断されていて光りもないし、誰かが助けに来てくれる気がしなかった。





悠真…今どこにいるの………?