黄色い悲鳴が、あんなに煩かったのにいきなり途絶え始めた。

すると…


″深瀬くんの彼女″ とそう呼ぶ声が廊下側から聞こえる。


廊下側に目線を向けると、そこには茶色いサングラスをかけた篠塚蓮がいた。


″深瀬くんの彼女って誰?″



わ、私!?



でもまだ悠真の彼女になったと決まった訳ではないし。


「そこのポニーテールをした子、君の隣にいる彼女を呼んでくれる?

俺の彼女でもあるからさ~」



そう篠塚くんが言うと、明日香は目をパッと見開き、驚きを隠せないまま私の背中をポンッと軽く押すなり、私を前に押し出した。



それにしても、篠塚蓮が私に何の用?

もうー!別にクラスまで来なくていいし、それに″俺の彼女でもある″って言った時点で、私の顔に泥を塗られた。



女子の標的になることも知らないのかな?


本当にバッカみたい。



自分がモテるからって、そればかりしか考えない篠塚蓮なんて嫌い。




私は明日香とリュウがいかにも私に、何か訊きたそうな顔をしているにも関わらず、後ろを振り返らずに篠塚くんのいる所に向かった。


篠塚蓮って、案外サングラスかけると一段と大人っぽい。


ドアの天井に腕を置いて凭れる(もた)姿も何かカッコいい!



女子達がキャーキャー黄色い悲鳴を上げる理由が、何となく分かる気がする。





だって、魔性のバンパイアみたいな男だからね!!