「美莉亜、そこで何してんの?
教室入れば?」


悠真が私に見かねたのか、話し掛けてきた。


″教室入れば?″って何か上から目線のようにも感じる。



「ミリーの友達?」


「あ、うん
そうだよ」


「何だ!同じクラスに男友達いたんじゃん!

初めまして、中島龍輝です
美莉亜とは、中学からの親友で仲良くさせてもらっています」


「こちらこそ初めまして
美莉亜とは最近友達になったばかりで、それにずっと図書室登校をしてきたから知らないことばかりですが、よろしく!
深瀬悠真です」


「深瀬さんって、あの一個上の先輩ですか?
バスケすごいって噂っすよ!」


悠真って、バスケで有名だったんだ…
リュウが知ってるくらいだから、ちょっとした有名人じゃん!


「今はもうバスケやってないんで!」


「そうですか」


「それより美莉亜、どうかしたんですか?」


やっぱり悠真、私について訊いてくると思った。
それを私にじゃなくて、リュウに訊くなんて…。


「俺にも分かりません

教室の前に着いた瞬間から何かおかしくて…

もしかして深瀬さんがいたからじゃないですか?」


「え、俺ですか?
俺、美莉亜に何もしてませんけど

あ!もしかして購買に行った時に、自販機のボタンを勝手に押しちゃったからなのかも?」


購買の自販機のボタンを、悠真が勝手に押したのはびっくりしたけどらある意味嬉しかった!

体が冷えないように私を気遣ってくれる
悠真の優しい気持ち。



「いや、それはないと思いますよ!」


「だよなー」


「何で、何で悠真がここにいるのよ…」


悠真はどうしてこんな大切なことを、私に話してくれなかったの?

あんなに教室に行きづらいって言ってたじゃん…

ねぇ、どうして?


「ここ俺の居場所でもあるし、俺のクラスだから」


「一言くらい話してくれても良かったのに」


「美莉亜には関係ないし!」


悠真に関係ないって言われて、じゃあ悠真にとって私は一体何なの?って訊きたくなるよ。

私は何だか苛立ちを隠せなくなり、悠真を冷たく突き放してしまう。


「あっそ
リュウ行こ?」


「行こってどこに行くんだよ?」


「静かな場所」





私がその場から立ち去ると、リュウが悠真に向かってお辞儀をした。



私、何やってるんだろう。


リュウにまで迷惑かけて…






悠真はどう思ったのかな?私のこと。




悠真が私のことを迎えに来てくれると思っている自分が、心のどこかにいる。