「ただいまー!」

私はリビングに入ると帰宅の挨拶をした。

リビングには、お母さんとお姉ちゃんが揃っている。


「おかえりー!」


「おかえりなさい!」


「うん、ただいま」


「美莉亜、彼氏と上手くいってんの?
だって今日デートしてたんでしょ?」


私が帰宅するなり早々と悠真の話題を持ち上げたお姉ちゃん…。


「いや、カラオケ行っただけだよ」


「え、何々?美莉亜に彼氏出来たの?
わぁーすごいじゃない!」


お母さんがイルカのように目をうるうると光らせる。


「だから違うって!
お姉ちゃんが余計なこと言うからだよ…」


「美莉亜、今お姉ちゃんって言ったわよね?」


「うん、そうだけど」


「誰が美莉亜を変えさせてくれたのかしらね」


「お母さん、それは深瀬悠真くんらしいよー!
悠真くんの片想いなんだけど、全然美莉亜が振り向かなくて…

だからクリスマスの日にダブルデートすることになったの」


お姉ちゃんがまるで自分のことのように、ぺちゃくちゃとお母さんに話始めた。



「ちょっと待って!クリスマスの日はお父さんが久しぶりに帰ってくる日よ?」



そう、私のお父さんは今…

出張で海外と日本を渡り歩いている。


だからたまにしか会えない。



それなのにクリスマスの日にダブルデートをして、お父さんと一緒にいる時間が減ったら、お父さん悲しむよなぁ・・・



お父さんより、好きな人をとったって
口聞いてもらえなかったら嫌だし。