「誰なの?」



そう聞かれてあたしは小さな声でその人の名前を言った。



「長谷川 空人くん。」

「えっ、長谷川くん?」



そう大きな声を出す笑美の口を必死で抑えた。



「こ、声大きいよ。」

「ご、ごめん。」



笑美は申し訳なさそうに謝ってきた。



「告白は?」



そう聞かれてあたしは俯いて首を横に振った。



「どうして?」



そんな問に顔を上げて答える。



「一度しか話した事ないし、あたしなんかが.....」



そういってまた俯く。



「じゃーさ、話しかけてみたら?告白はまだ出来なくても、話すだけならいいんじゃない?」

「で、でも、何話したらいいかわかんないし。」

「そんなの適当でいいんだよ!」

「そ、そうだよね。」



そう答えたあと、担任の先生が教室に入ってきて笑美は、自分の席に戻っていった。