あれからまた一ヶ月ほどたってあたしのお腹にいる赤ちゃんは4ヶ月になった。





「ママ。」



あたしはリビングにいるママに話しかける。



「なぁに?」

「あたし、この子産みたい。」

「何言ってるの?」

「この子の顔を見たいと思ったの。お願い産みたいの。」

「亜夢。」




あたしには父親がいない。




あたしがお腹にいる時にママはパパと別れた。




でもママは一人であたしを産んで育ててくれた。




「亜夢。産むって言うのはそんなに簡単なことじゃないのよ?」

「わかってるよ。ママも必死になってあたしを育ててくれた。でも、この子の顔が見てみたいの。今もあたしの中で生きているこの子に生まれてきて欲しいの。」

「亜夢。」

「ママ、あたし大丈夫だから。ちゃんと高校も卒業するから。お願い。」

「わかった。わかったから落ち着きなさい。」

「ママ。」




ママごめんね。



たくさんたくさん迷惑かけて。




でも産みたいと思ったのもこの子の顔が見てみたいって思ったのも本当なの。




ママもそう思ってあたしを生んでくれたんだと思うから。




「亜夢、約束して頂戴。気分が悪くなったらすぐに言う事。お腹が大きくなったら先生に見つかって退学になる。その覚悟はできているの?それと、学校では笑美ちゃんだけには妊娠の事言っておきなさい。きっと亜夢の支えになってくれるはずだから。」

「わかった。気分が悪くなったらすぐに言う。退学になる覚悟はできてるよ。この子の為なら大丈夫。そう思ってたよ笑美にはちゃんと言おうって。」

「それと定期的に産婦人科に行くこと。」

「わかってるよ。ありがとママ。」







明日ちゃんと笑美に伝えよう。