息を切らして5組のドアを開けた。

「あ…」

教室には福家が一人。

「おう!咲野じゃん。」

「福家は、何してんの?」

「いやー、提出物忘れちまって、ぴーこに怒られて、ダッシュでやってるなう」

「そっか…」

あたしは何となく福家の隣の席に座った。

「手伝ってあげてもいいけど?」

「さんきゅー。それより咲野こそ何しにきたんだよ。わざわざ隣の校舎に?」


福家は少し笑いながら言った。

「ちょっと福家に用事があったから…」

あたしは少しうつむきながら言う。


「俺に?めずらしー、どーしたんだよ」

あたしは顔をあげて、福家の目をまっすぐ見て言った。
「あたしずっと福家のこと好きだった。あたしと付き合ってください。」

「え…」

変な沈黙。
福家はあたしから目をそらす。
それにつられて、あたしも目をそらす。