なんで、なんで私ばっか!

涙もなにもでないで、ただ夢中に走ったの


バンッ

「...大丈夫?」


上を向いたら、優しそうな男の人が手をさしのべていた

でも、今の私には怖くてたまらなかった

私が怖がっているってわかっていても、男の人は優しい笑顔だった

「...怖がらなくても大丈夫ってもダメか(笑)」

はははって笑っていても手はさしのべてくれていた

私は自然とその手に手をおいていた

男の人は笑いながら私をたたせてくれた


「おうちは?
こんなに夜遅くにいたら危ないからダメだぞ!」

知らない男の人に、怒られてしまった

でも、私ははじめて怒られたのが、私を心配してくれるのが嬉しかった

「...私の居場所なんてない」

男の人がどんな顔をしているのか見るのが怖かったから私はうつむいた


「...そっか

じゃあ、うちの倉庫に来るか?」


「うん」

自然と口から言葉が出ていた

私は、男の人の手をつかんでいた

そして、数分したところに倉庫があった

がらがら

「「こんばんわー」」

倉庫を開けると男の人たちがいた

私はさっきの男の人と階段をあがった

男の人ひとたちは私を見ていたけど何にも聞いてこなかった

私もどうでもよかった

そして、階段をあがって手前の部屋で止まった

「みんないいやつだから、安心しろ」

私の頭を撫でてくれた

撫でてくれたのがはじめてだったからなんて顔をしていいのかわからなかった

ガチャ

「お帰...あれ?その子どうした...まさか隠し子!!」

「なわけねーだろ!!
...拾った?」

部屋の中にいた男の人が5人いた

その一人とさっきの人がいろいろ話し合って私は角のすみに座ってその人たちの会話を眺めていた


私が始めてあの人たちに思ったのはバカらしいだけだった

「大丈夫か??」

顔をあげるとさっきの言い合いを見ていた男の人がしゃがんで私と同じ目線で見てきた

私は喋らずただうなずいた

「あー、いい忘れてた俺の名前は遡(さく)って言うんだよろしくな」

笑いながら自己紹介をして来た

さっき自己紹介をして来た人は私をつれてきた人じゃなく、私に大丈夫か...と言ってきた人だった


「あー!!
遡お前なに一人で自己紹介してんだよ!」

言い争っていたひとがこっちへ来た

さ...遡さんはため息をしてソファーに座ってしまった

「えーっと僕、雄(ゆう)よろしくねー」

私はただうなずくだけだった

「怖がってるだろ!
そう言えばいってなかったな...俺の名前は迅(じん)だ!よろしくな!!」

私をつれてきてくれたひとがまた手を伸ばしてきた

私は、自然とこの人なら大丈夫と思っていた
だから、手を伸ばした

ギュー

手を強くそれでいて痛くない程度で握ってくれた

温かい

その人の手は心にまで温かさが伝わってきた

フワッ

!!

私が気づいたときには迅さんに抱き上げられていた

私は拒否もせずそれを受け入れた
それが嬉しかったのか迅さんがにこやかだった

「あと他の二人を紹介するな...

あそこでテレビを見てるのが壮(そう)で、ソファーで漫画読んでる眼鏡が葵(あお)っていうんだ、どいつもいいやつだから、心配すんな」

笑いながら私の頭を撫でてくれた

私はそれが始めてのことで困惑していた