やめて!
「...ま...田島!」
はっ!
そこには、息を切らした月谷がいた
なんで、帰ったんじゃ...
「大丈夫か...」
月谷は私を支えて近くのベンチに座らしてくれた
「ん
少しは落ち着いたか?」
月谷は、私にココアをくれた
「うん...ありがとう」
お礼を言ったら、月谷は黙ってベンチに座った
「...聞いていいか?」
確かめるように、私に聞いてくれた
その時々の優しさに私はドキッとしてしまった
「うん...話せる範囲で」
そう答えると、月谷はゆっくり話してくれた
「どうした?」
「なんかね、時々私の頭のなかに入ってくるの
誰かはわからないけど、私の名前を笑顔でいってくれてるような気がするの...
でも、誰かはわからなくて...
これも記憶喪失なのかなって
それに、その人を思い出そうとすると、時々目の前が真っ暗になって、力が抜けていく感覚になるの」
私の言葉を月谷は優しく聞いてくれた
「...そうなんだ
でも、そんなに無理して思い出そうとしなくてもいいんじゃないか」
月谷の言葉に私は目を見開いた
「無理して思い出そうとするから辛くなったりする
ゆっくり時間をかけて...そうすればいいと俺は思うんだよ」
月谷の言葉は優しかった
「そうだよね...」
スッと心が晴れた気がした
きっと、いつか思い出せる日がくるよね
「月谷、ありがとう」
私は、月谷に微笑みかけた
そしたら、月谷は顔を少し赤くした
どうしたんだろ...
「月谷...大丈夫?
顔赤いよ...まさか、熱?!」
月谷は、驚いたようにこっちを向いてきた
「お前って、無自覚なんだな...」
なにいってるのこの人...
「私、無自覚なんかじゃないよ!!」
月谷は、ため息をしながら
「ハイハイ」
っと、言ってきた
少しムッとしたけど、さっきの事があったから許した
「なにか、あったら俺に言えよ」
ポンポン
そう言って、月谷は私の頭を撫でてくれた
「...子供扱い?」