咲哉は、心配してると思う。



それでも、俺は知らないふりをした。



――――葉月には…話せてない。



一緒に帰る日も、デートする日も。



葉月との時間は、前より遥かに減った。



俺に何かあるって葉月もきっとわかってる。



それでも、話す気にはならない。



俺が治れば、いい。



脳腫瘍が治れば…また、いつも通りの生活になる。



だから…話す気はない。