明るくなりそうだったこの家族会が一気に元に戻るのが、その場の空気でわかる。
「株価暴落…?」
「結衣くん…だったかな? 君は聞いたことないかな?」
「いや…」
俺も、聞いたことない。
「社長…」
「圭人…」
結衣の父親は、ただ下を向いて腕を組んでいた。
「約一年前、突然ロイヤル・イーストの株が一気に下落した。ほんの数時間程度であったけれど、たった数時間でその影響は世界規模だった。その主犯が東雲凛、間違いなかろう?」
「えぇ、間違いありません」
「彼女一人で、損害額が億を超えたと聞いているが」
「否定はしません」
「彼女がまた同じ事をするとは限らんだろう」
「それでも、僕は娘を信じます」
一進一退の攻防。
当の本人同士でもないのに、なぜ、ここまで発展するのか。