「何もかも息子達に任せ、本当はもうすぐ生まれてくる子供と妻と、ゆっくり過ごしたいだけです」




裏のない表情で、南雲の重鎮達からしてみたら馬鹿げていることでも、恥じらいもなく言えるこの人は、本当にあの東雲のトップなのだろうか。



ここにいる誰もがそう思っただろう。



あいつですら、驚愕した顔を向けている。




「随分と自分の子供を信頼しているようだな」

「もちろん。息子は今すぐにでも社長の座を渡していいほど優秀ですし、上の娘は僕が思いつきで始めたリゾート事業を拡大してくれました。下の娘ーー凛も経営者として、従業員から信頼されています。僕なんかよりも立派な子供達です」




彼女がこの話を聞いたらどう思うだろう。



もしかすると、もう彼女は父親が思っている事を知ってる可能性もあるな。