「今日はもうお開きだな」



毎日2時間ほど集まるこの会も、各々が忙しすぎて、結局結論にたどり着かないまま終わる。



「圭人、お前もすまないな」

「いえ、俺は…」

「俺が何も言えないばかりに」

「…………」



結衣の父親も参加しているけれど、厳格なこの家族会の中ではいくら南雲一族のトップとはいえ、口出しすることはできない。


南雲一族で一番偉いはずの社長なのに、結衣の父親は自分の結婚の時に揉めたことを、まだ根に持たれているのだ。



「紫苑の時とは違い、凛ちゃんはちゃんとした家柄の子なのにな」



結衣の父親が結婚する時、相手が紫苑さんーー極道の娘であったことは、かなり激震だったらしいと父に聞いた。


今でも上流階級のみのトップシークレットとされているほど厳密にされている。


そう考えると東雲なら隠すこともなく、むしろ自慢したいくらいだろう。


だけどそれ以上に、南雲と東雲の溝は深い。