浮気彼氏 × 泣き虫彼女

莉季亜(りいあ)~side~


「ねぇ~、ねぇ~。
陸ぅ~今日、陸ん家いってもいぃ~?」




「あぁ、こいよ」




「やったぁ!
陸大好きぃ~!」




こんな会話をしているのは私ではない。



私の彼氏、陸は毎日違う女の子と遊んでいる。



そして、彼女の私はというと………



「………ふぇっ………ぐすっ……
禀ちゃっ………」



そんな陸を見て毎日泣く私。


私は本当に陸の彼女なんだろうか………?



「よしよし。
もう、あんな男やめなよ。
なんで、あんなんのが好きなのさ?」


私が泣くたびに慰めてくれる心友の凛ちゃん。



「でもっ
好きなんだよ………ひくっ」



凛ちゃんはまだ嗚咽を漏らす私の背中をゆっくりなでてくれる


「わかったわかった。
今は、泣きな。」



「ありがと……禀ちゃん……」



「落ち着いた?」


数分してから心配そうに私の顔を覗きこむ凛ちゃんの顔。


もう心配かけまいとムリヤリ笑顔を作った。


「うん……もう、大丈夫!
心配かけてごめんねっ!」



「うん、だけど、泣きたい時は言うんだよ?」



「わかった!
ほんとにありがとね、禀ちゃん!
大好きっ」


今度は本当の笑顔を凛ちゃんに向けると


「その顔、絶対に男に向けちゃだめだからね。」


と、言われる。


急に真剣な顔をして言う凛ちゃん。


「え!そんなに不細工な顔だった!?
今度から気を付ける!
教えてくれてありがとう!」


その顔を男に見せたら引かれちゃうから見せちゃダメだよってことだよね?

凛ちゃん。親切♪


「いや、そういう意味じゃないんだけど……」


禀ちゃんが呆れた顔でなにか言ってたけど、ま、いいや!


そんなことを頭の隅で考えていると次の授業を知らせる予鈴が響いた。




「あ、チャイムなったよ?
行こう、禀ちゃん!」


まだ目にたまった涙をゴシッとふいて予鈴が鳴ったことを知らせる。


だけど禀ちゃんは「莉李亜が狼どもに食べられないようにしないと……」
などとぶつぶつ言っていた。


もうっ……



「ほらほら禀ちゃー ん!
学校に狼さんはいないから大丈夫だよ!」


と言ってグイグイ引っ張り教室に入った



ふーっ、なんとか間に合った。次の先生怒ると怖いんだ。



ふと、陸の席に目を向けるとまだ陸は女の子に囲まれて優しい顔で笑い合っいた。


ズキ……

心臓が嫌な音を立てる。



そんな私に気づいたのか、禀ちゃんが怒って言った。





「あ"~、もうっ!
まぢでなんなのあいつ!?
顔いいからって調子乗りすぎじゃないっ!?」



ギロッ


そんな効果音が付きそうなくらい陸の周りにいた女子ににらまれた。


私は慌てて禀ちゃんに言う。


「りっ禀ちゃんっ!
声、大きいよっ」


こんなこと言ってるのを陸に聞かれるともっと私嫌われちゃうよ……








そんなことを考えて自傷的に笑う。


すると、「おい」と声をかけられた。


私はすぐに声の主が分かった。


大好きな人の声を忘れるはずがない。



「陸………」



「なに、今の。俺に言った?」



すごく不機嫌そうなオーラを出している目の前の陸は私を邪魔なものを見るかのような目で睨み付けた。



今まででこんな目で睨みつけられたのは初めてだ…。






「聞いてんのか?」



「え……??」


傷心していて陸の声に気づかなかった。



「えっ……と……」


私があたふたしていると禀ちゃんがズイッと入って言う。


「そうだよ、あんたに言ったの。
本当のことを言ったまでよ。
あんた、彼女の莉李亜を無視して他の女とイチャイチャして馬鹿じゃないの?
莉李亜の気持ちも考えたら?」




するとすぐさま陸の回りにいる女子が反論してきた。




「はぁ!?あんた陸様にむかって何言ってんの!?」




「へぇ~。その莉李亜って子、彼女だったのぉ?
似合わなぁい」






「そぉよ!あんたが可愛くないから陸樣にも相手にされないんでしょぉ?」


「身の程知らずのバカねぇ」



クスクス



みんなの言葉が胸に刺さる


でも、みんながいってることは本当のことだ。


いつも禀ちゃんがいないとクラスメイトともあんまり話せないし……


「は!?
あんたたち、それ以上言うと……」



「いいの!禀ちゃん。
みんなが言っていることは全部本当だから。」


「でも………」


凛ちゃんはまだ納得いかないようだったけど、我慢してくれたみたいだ。


自分でそうは言ったもののやっぱり傷つくなぁ。


じわ…と、涙が滲む。



そんな私を見て禀ちゃんが気を使って「屋上……いく?」
と聞いてくれた。


そうだなぁ。また泣いちゃいそうだし…


「うん!行こ♪」



私は無理に明るく振る舞って禀ちゃんと教室を出た。


この時に悲しそうな目で陸が見ているとも知らずに………。


~陸sied~


「うん、行こ♪」


無理に笑顔を作った莉李亜が教室を出ていく後ろ姿を無言で見送る。



俺は、莉李亜の彼氏失格だな。



本当は、 莉李唖以外の女と話したくもねぇ。



だけど……



莉李唖が俺のことを本当に好きなのか、不安で、いつも他の女と遊んでいる。


あいつがこっそり流す涙を見ると、



俺のことをまだ好きでいてくれてるって自信が湧く。




こんなことしちゃいけないって心の中ではわかってるんだ。



なのに、俺が弱いから莉李唖を不安にさせて毎日毎日泣かせて。



本当に俺、最低だ……




だってあいつは、天然でおっとりしていて誰にでも優しい。



このクラスの男たちが莉李唖を目で追っているのをあいつは全然気づいていない



いつ他の男に取られるか気が気きでないんだ。



だからいつも好きでもない女達と一緒に居て俺のことをまだちゃんと好きかどうか確かめている。


でも、こんなことしていたらいつかきっと本当に莉李唖に嫌われてしまう。


分かっていてもやめることが出来ない。


こんな自分、大嫌いだ




~陸sied end~




~莉季亜 sied~


はぁ…………



結局、逃げるように出てきちゃったなぁ




「莉季亜、大丈夫?」




「うん、大丈夫だよ!」




みんなに陸と不釣り合いだと、言われたことがショックだった。



心の中では分かってたんだ。



みんなから文句を言われることを………



だけど、やっぱり私は弱いからこんなに簡単に傷ついちゃう。