浮気彼氏 × 泣き虫彼女




誰かは振り返らずにも声でわかった。



莉季亜だ。



反射的に胸が高鳴る………



近くで見るともっと可愛かった



だけど、今までそっけなく話してきた口は言うことを聞かずに冷たい話し方をしていた。



「は?ここで話せよ。」



「いや………ここじゃぁ………言いにくくて……」



なんだ?言いにくいって。



もしかして別れ話か?



すごく不安になってきた。


屋上につくとおどおどしたようすで



「あっあのね……覚えてる?今日記念日だってこと…………

だから……今日デートしよう?」



覚えてるに決まってんだろ。



俺も言おうと思ってたんだから。





そう言おうと思った瞬間、



また口が先走った。



「はっ?笑わせんなよ

なんでお前とデートしなきゃいけねぇ
の?

やっぱお前ってバカだよなぁ…。

俺、お前のこともう好きじゃねぇから

そんなことも気づかなかったわけ?」



違う。俺はこんなことを言いたかったわけじゃない



こんなの、本心と真逆だ…



すると莉季亜は泣いて出ていってしまった。



『陸なんて………あんたなんて……大っ嫌いだ!!!』



という言葉を残して。



俺はとっさに『莉季亜っ』と叫んだが俺には見向きもせずに走っていった。



最悪だ……



今日こそはちゃんと伝えようって思ったのに…




今ごろ莉季亜泣いてんのかな……



俺はどれだけ好きな人を傷付けるんだ?



泣かせるんだ?



このままあいつを放っておいていいのか?




「くそっ、いいわけねぇ!!」



俺は莉季亜がどこにいるかなんて考えずに屋上を飛びたした。



「はぁっ…………はあっ…………はあっ



莉季亜!どこだ!?」



屋上で呼んだ時よりも大きな声で、愛しい人の名前を呼んだ。



今度こそ、俺の声が君に届くように………



「莉季亜ーっ!!!」




~陸side end~



~莉季亜side ~



「莉季亜ーっ!!!」




ぴくっ




陸の声!?



陸が追いかけてくれるはずないけど……



今の声は確かに陸だった。



私は吸い寄せられるかのように声のした方へ少しずつ近づいていった……



私がいた場所は東の裏庭、声が聞こえたのは西の裏庭だったはず……




そう考えながら校舎の角を曲がったとき、どしんっと誰かにぶつかった。



「痛っ!」



すごい勢いで転んだあげく尻餅までついてしまった。



もう、最悪……



すると、「莉季亜!!」とすぐ近くで私の大好きな人の声が聞こえたかと思うとすごく強い力にぐいっと引っ張られ
気づいたら暖かい腕のなかにすっぽりとはまっていた。




この腕の主は………陸だった。



「り、陸っ!?

なんで………!?」


急に抱きしめられて気が動転したが先ほど、陸に言われたことを思い出し、抵抗した。



「ちょ、ちょっと離してよっ!」



陸の胸板を激しくドンドンッと叩いたがびくともせずにただ、とくんとくんと少し早い心臓の音が聞こえているだけだった。




「莉季亜………ごめん。」



「……………っ!

なにが?

私のことを遊んでいたこと?」



「ちがっ………」



「私が泣いているのをみて笑っていたこと?」




「莉季……」



「陸が私のことを騙してバカにしていたこと?」



「聞いてくれっ!」



急に真面目な顔で苦しそうに怒鳴るのでびくっと肩を揺らしてしまった。



「…大声出してごめん。

でも、聞いてくれ

俺………本当に悪いことをしたと思ってる。

お前という彼女がいながらもずっと女と遊んでいたり、さっきもう好きじゃない何て言ったりして本当にごめん。

俺が女と遊んでいたのは不安だったからだ。

お前は無自覚で…天然で……なのに、どこかしっかりしていて、可愛くて俺の自慢の彼女だった。


だけど莉季亜が俺のことをちゃんと好きなのかすごく不安になった。


その思いは日に日に膨らんでいったんだ。


そして悩んでいたらクラスの女に言われたんだ。

『そんなに不安だったら試せばいいじゃない?』って。


そんなこと普通ダメなことだけど、その時はいい考えだと思ってしまった。


そして、それから毎日女と遊んで莉季亜が泣いているのをみて安心するようになったんだ。


でも、これだけは信じてくれないか?

あんな気持ちわりぃ女たちと一緒に好きでいたわけじゃない。

俺が好きなのは……莉季亜だけだ。」




「ひっく……ひくっ……」



「莉季亜!?ごめ……」




陸の言葉に安心して涙が溢れた。

よかった、私のこと嫌いじゃなかったんだ。

その気持ちが心を埋め尽くす。


そうやって嗚咽をもらしながらまだ泣いていると急に口をふさがれた。



「んっ……ふぁ……」



それが陸の口だってことに気づくのに時間はかからなかった。



くっ苦しっ



「んぅ…!」




長いこと口をふさがれていたので体が酸素を求めていた。




ドンドンッと陸の胸板を激しく叩くとやっと離してくれた。



「なんでっ…キスなんてするの」



「さっき言ったろ、俺はお前が好きなんだ。

今まで莉季亜にしてきたこと本当にごめん。

だから………もう一度俺と付き合ってくれませんか?」



じわ……とまた涙が出てきた。




はいって答えるしかないじゃん……



私は陸だけが好きなんだから。



「はい……」



そう答えるとものすごく嬉しそうな顔をして「ありがとうっありがとう莉季亜!」と言ってまた強く、強く抱き締めた。






「莉季亜、本当にありがとう。こんな俺を信じてくれて…………

もう2度と悲しい思いをさせないから。」


「うん…。

私、すごくすごくうれしい。

私が好きなのは陸だけだからね!忘れないで?

不安になったら私の気持ちを素直に伝えるよ。

陸、愛してる。」



「俺も………愛してる。」



そして、私たちはどちらともなく幸せなキスを交わした……。




END





こんにちは!muu♪です。



今日は「浮気彼氏×泣き虫彼女」を読んでいただき、ありがとうございました。



短編を書いたのは初めてで、結構苦戦しました( ノД`)…


短い中どれだけ分かりやすく、胸キュンできるか考えて作ったつもりでしたが………全然うまくいかず、ぐだぐだなお話になってしまいました……汗




そんなお話でもここまで読んでいただいてものすごく感激ですっ



ありがとうございます!




これからももっとたくさんのお話を書いていきます!





その時は読んでいただけると泣いて喜びますのでお願いします♪








では、またどこかで………





muu♪

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