浮気彼氏 × 泣き虫彼女

~莉季亜 sied~


はぁ…………



結局、逃げるように出てきちゃったなぁ




「莉季亜、大丈夫?」




「うん、大丈夫だよ!」




みんなに陸と不釣り合いだと、言われたことがショックだった。



心の中では分かってたんだ。



みんなから文句を言われることを………



だけど、やっぱり私は弱いからこんなに簡単に傷ついちゃう。


「莉季亜。無理しないで言いたいこといっていいんだよ。

泣きたくなったら泣いていいんだよ?

どうせ、莉季亜のことだからあいつと不釣り合いだって言われて傷ついて、泣きそうになってる自分を攻めてるんでしょ。」



なんで、凛ちゃんにはなんでもわかっちゃうのかな?




「傷ついたら泣いていいんだよ。

人は傷ついて成長していくんだから。

傷つくのが当たり前なんだよ、莉季亜。

だから、我慢しないで感情を出しな。」



優しく、落ち着かせるようにゆっくりと話す凛ちゃんのことばで私の涙腺はプチンと音を立てて切れた。





「ぅ……ふぇ………りっ…りんちゃっ……ん
嫌だったよ…陸とっ……似合わないって言われるのも………泣くのを……我慢するのもっ……」


「うん。よく我慢したね。


莉季亜はよく頑張って耐えたよ。


もう、いいよ。


もう耐えなくていい……」






………………………………………






「んっ……ぁ……れ?」



なんで私たち屋上にいるんだっけ…?



寝起きの頭で考える。



あ、凛ちゃんが我慢しなくていいって言ってくれて泣いちゃって、そのまま寝ちゃったんだ!


今何時!?



「5時………3時間くらい寝てた……


り、凛ちゃん!起きてっ

もう5時だよ~っ!」



「ん……おはよ……って5時!?


うわぁ、莉季亜の寝顔見てたら私も寝ちゃった!


もぉ~、莉季亜が泣きつかれて寝ちゃうか…」



「ご、ごめんね……」



「ふふっ

冗談だよ。

てゆーか私たち、午後の授業全部サボったね!

私、サボったの初めてだよー!」



「ふはっ


私も初めてだよ!!」



そう言って2人で笑いあった。






ひとしきりの笑いが収まった時、私は凛ちゃんに今、心に決めたことを話そうと思い、口を開いた。




「あのね、凛ちゃん。

私、決めたことがあるの。

明日、私と陸が付き合った記念日なの


だから……明日、陸に話をデートに誘ってみる。

記念日のことを覚えていたらまだ、陸のこと諦めない。

だけど、覚えていなかったら…私、陸を諦める。」



「そっか………

莉季亜が決めたことなら私は応援するよ。

頑張ってね!明日!」




「うんっ

ありがとう、凛ちゃん!」



全ては明日に掛かっている。



どうか陸が………記念日を覚えていますように。



そんな願いを込めながらベットで眠りについた。







次の日の朝。


今日は陸をデートに誘う日。


そのために今日は『あること』をしてきた。


みんなどんな反応するかな♪



「おはよ~!」


ガラリとドアを開き、元気な声で挨拶する




ザワッ



「どうしたの!?

莉季亜…その髪………」



朝、教室に入るとまっすぐに凛ちゃんが話かけてきた。



急に変わってしまった私に驚いているのだろう。



クラスメイトもみんなこちらを見ている



私の昨日まで真っ黒のロングストレートだった髪がブラウンのゆるく巻いた髪に変わっていた。



そして、いつもは化粧なんてしないけど今日だけはバッチリきめてきた。



お母さんに教えてもらいながら。



お母さんは一応、プロなんだ。



メイクアップアーティストってやつ?


「えへへ、イメチェンってやつだよ♪」



「………………………」




「あれ?凛ちゃん?


似合わなかった!?」


無言の凛ちゃんに不安になり、声をあげた。



すると、勢いよく抱きつかれた。。




「きゃーーーーっ

莉季亜可愛いすぎる!

似合わないなんてあり得ないよ!!

もぉ、ありえないくらいかわいいっ

こんなの見たらみんな惚れちゃうよ~~っ!」



「そっ、そんなに可愛くないよ~、凛ちゃん言い過ぎ~」



「いやいや、ほんとだよ?

だってさっきあいつも莉季亜のこと見てたよ?」



あいつとはもちろん陸のことだ。




「えっ!うそ……

変って思われたりしてないかなあ……?」




「もうっ

莉季亜ったらほんと、ネガティブよね。

その格好の莉季亜を見てかわいくないって言う人居ないからっ!」




「そうかな~………


でも、ありがと!


凛ちゃんのおかげで私、今日頑張れそうだよ♪」











「そっかそっか♪

頑張りたまえっ

それで、いつ言うの?」



「お昼休みに言おうと思ってるよ」



「そっか!

じゃぁお昼休みまで心の準備をしとかないとね。」




「うん……」



いつもは長く感じるはずのお昼はすぐに来た。



「莉季亜、心の準備は出来た?」



凛ちゃんが不安そうに私の顔をのぞき込んでいる。



「うん……」



「緊張しすぎだよ、リラックスして!!」




「そうだね……

じゃ、頑張って行ってきます!」