あたしだって憧れてた。

部活終わりの少し薄暗くなった道を好きな人と歩く帰り道に。


「なのに奴は、フツーに全部蹴ってたからね」


あり得ない、という顔で男子の輪の中で談笑している南君に目を向けた美帆は続けてこんなことを言った。


「または、小さいとか」

「んんっ――…!?」


確実に下ネタだと分かるその発言に、あたしは飲んでいたコーヒー牛乳が変な所に入った。

なのに“決定だね”と、目の前の親友を助けることもなくサラリと言ってのける美帆にあたしは咳き込みながら白い眼を向けた。