あれ以来変わった私を、大地は何度か引き止めようとしていた。



あのキスを目撃した翌日。


テストの後に、腕を掴まれた。



「よみ…髪の毛染めたんか。」

「んー?似合う?」

「ん。似合う。……あのさ、昨日…」

「昨日?なんかあったの?」

何も知らないことにして尋ね返すと、大地は黙った。


「じゃあ帰るね。ばいばーい。」


明るく手を振った。






あえて、何も聞かなかった。何も言わなかった。



もう、何もなかったことにした方が楽だった。