「……川野さん……」

「あ?泣いてんの?ちょっとあぶねーから降りてきな。」







原チャの後ろに乗せられて、少し離れた砂浜まで走った。




夜なのに海の家には灯りがついていて、何人か騒いでいる声が聞こえてきた。



「ちょっと待ってな。」

私を残してそこへ走って行った川野さんは、すぐに戻ってきた。



右手にはビールの瓶を持っていて、左手は私の右手を掴んだ。




そのまま砂浜のはじっこまで歩いて、そこにどかっと腰を降ろした。


もう海の家の灯りは遠くに見えて、波の音しか聞こえない。



私も隣に腰を降ろした。