「前にも言ったよね?あたしは色羽も成も好きだよ」
「幼なじみとして?」
「うん」
「ウソつくなよ。聞かなくても本当はわかってた。華の成への気持ちは恋だろ……?」
俺は華の体を離した。
華は俺を真っ直ぐに見つめる。
「色羽……なんで?いつから気づいてたの……?」
「気づくよ。バーカ」
「そっか……気づいてたんだ。あたしだって自分の気持ちに気づいたの最近なんだよ……」
「それでも俺、華のことあきらめねぇから」
華が成を好きでも。
成には彼女がいる。
俺はあきらめない。
華への気持ちは。
そんな簡単な気持ちじゃねぇんだよ。
「めちゃくちゃ好きだから……おまえのこと」
「色羽……」
幼なじみという関係。
3人の関係を壊したくなくて、いままで必死に保ってきた境界線。
華の気持ちを知って、焦ったんだ。
誰にも渡したくない。
俺は、とうとう越えてしまったんだな。
見えない線の向こう側へと――。