唇を離すと、華は目を大きく開けて驚いた表情でいる。
華は固まって、動かない。
「な……なにしてんの?色羽……」
「なにって……」
「いま……キ、キス……」
「そんな驚くなよ」
冷静な口調で言ったつもりだけど、俺の心臓はバクバクしていた。
「驚くに決まってるでしょ……」
そうだよな。なんで俺いま……。
自分からしたくせに動揺してる。
俺は華から視線を逸らして、横を向く。
「は、華は覚えてないかもしんないけど、俺たちキスすんの2回目だからなっ」
なに言ってんだ俺。
マジで落ちつけよ。
「……覚えてるよ」
「え……?」
「幼稚園の時でしょ……?すべり台の上だっけ?お昼寝の時だっけ?」
「すべり台の上。かくれんぼしてた時」
「……そっちが色羽だったんだ」
「え?」
「ううんっ。なんでもないっ!こっちの話。ていうか2回目だからってなんなのよ。あの時といまキスするんじゃ全然違う……」
「あの頃からずっと、華のことだけ見てきた」
俺は華の瞳を真っ直ぐに見つめる。
「いいかげん、気づいてるだろうけど」
「なにを……?」
「俺が、華のこと好きだってこと」