「あ、落ちちゃった」
華が持っていた線香花火。オレンジ色の丸い火が地面にポトッと落ちた。
「色羽の勝ちだね。あ~悔しい。もう1回やろ?」
華は俺の服を掴んで微笑む。
「あ、華が揺らすから俺も落ちたじゃん」
「へへっ。2回戦ね」
「そのまえにやることあんだろ」
「デコピン?はいはい。お手柔らかにお願いします」
華は左手で前髪を押さえて、おでこを見せる。
そして、ぎゅっと目を瞑った。
なぁ……華。
おまえはなんで成なんだ……?
俺は、華の頬にそっと手を伸ばした。
「早くしてよ、色羽」
目を瞑ったまま華が言った。
華の柔らかい頬に手をあてる。
目を瞑る華の顔を見つめた。
成じゃなきゃダメなのか……?
俺じゃダメか……?
ゆっくりと顔を近づける。
俺は華にキスをした――。