「ねぇ!この花火やりたーいっ!地面に置いて、火をつけたらシュワーって勢いよく花火が吹き出すみたいよっ」
そう言って華が、筒の花火を持って俺に見せる。
「おー。やろーぜ」
華の表情を見て俺は安心した。
今日は心から笑ってるみてぇだし。楽しそうでよかった。
最近の華は、無理して明るく振舞ってたからな。
その理由もわかってるけど、俺にはどうにもしてやれねぇし。
「はい、色羽」
そう言って華は、俺に筒の花火を渡す。
「なんで渡した?」
「火、色羽がつけて?ちょっと怖い……」
「はー?怖くねぇだろ別に」
……ニヤけんなよ、俺!
くっそ……可愛いって思っちゃったじゃねーか!
「だって、急に火がぶわって出たら怖いじゃん」
「わかったよ。華は少し離れたとこにいろっ」
「はーいっ」
華は、満面の笑みで俺を見た。
やっべ……。
なんだよ、その笑顔は。
華のやつ、たまにこういう可愛いとこあるんだよな。
そのたびに俺はドキドキしてんだって。おまえは知らねーだろうけど!
「色羽?」
「ん?あぁ。火つけねぇとな……あれ?成、ライターどこやった?」
成は両手に花火を持って、鼻歌を歌いながら庭をスキップしていた。
「ぶっ……変人がいる」
小さい頃と変わってねぇな、成も。
おまえのそういうとこ愛しいわ、本当。