「西内はバイト。俺休み~」



もしあたしが想いを伝えたら、砂歩のことだって、裏切ることになる。



友達を傷つけてしまう。



成と砂歩は付き合ってる。その事実は決して変わらない。



最初から答えがわかっているのに、想いを伝えるなんて。



“好き”なんて言葉に出来ないよ。



すべてを失う勇気なんて、あたしにはない。



「……華っ!」



「え?」



成は、あたしの腕を掴み、グッと引き寄せる。



成の胸元に、あたしは顔をぶつけた。



――ブォォォォン……。



道を猛スピードで車が走っていった。



成は、あたしを守ってくれた。



こんなの初めてのことじゃないのに。



この想いが恋だと気づいた途端、ドキドキしてる。



「危ね~車」



あたしは、成の胸元に頬をくっつけたままでいた。



成の匂いがする。



「やっぱり華、今日なんかボーッとしてるよなぁ?大丈夫か?」



「うん……大丈夫」



あたしは成の体から離れて、成の瞳を見つめる。



「……成」



「ん?」



じゃあ、この気持ちはどうすればいい……?



あたしはどうすればいいの……?