成への想い。
恋する気持ち。
気づくのに、遅すぎた――。
放課後、あたしはひとり帰り道を歩いていた。
「はーなーっ」
そう言って後ろから、あたしの首に腕を巻きつけてきたのは、成だった。
「び、びっくりしたじゃん。もぉ……」
「なにボーッと歩いてんだよ?」
成の笑顔に胸がぎゅっとなる。
いままでなんともなかったはずなのに。成の行動にいちいちドキドキする。
「色羽のやつ、部活のあとにいつもの公園でバスケしてくるってさ。好きだね~バスケ」
「テスト終わったし、バスケしたくて仕方がないんでしょ、きっと」
「だな」
成の横顔を見つめる。
もしこの気持ちを成に伝えたら、
あたしたちはどうなるんだろう。
いまみたいな関係は、どうなるの……?
「ん?どした?華」
壊せない。
壊したくない。
幼なじみというその場所。
それ以上の関係を望めば、元の場所に戻れなくなるかもしれない。
「ううん、なんでもない。ていうか、今日砂歩はいいの?」