「おめでとっ。砂歩」



笑って、心から祝福しなくちゃいけないのに。



笑ってるはずなのに。なんで涙が出そうになるんだろう。



「ありがと!華……」



そう言って砂歩は、あたしに抱きついた。



「成くんのこと、いろいろ教えてね?」



「教えることなんて別に何もないよぉ」



「でも成くんのことを誰よりも知り尽くしてるのは、華じゃんっ!過ごしてきた時間の長さは、華には絶対勝てないもん」



「砂歩……」



あたしは砂歩の体を離して、真っ直ぐに砂歩の瞳を見つめる。



「ねぇ、砂歩は成を想うと、どういう気持ちになるの?」



「え?どういう気持ちって……」



「ほら、あたしさぁ、恋したことないから。どんな感じなのかなーって思って……」



「うーん。好きって気持ちは、人それぞれだからなぁ~」



「そ、そうだよね……」



「砂歩の場合は、いつのまにか目で追ってたり、ドキドキしたり、胸が苦しくなったり、成くんを自分だけのものにしたいって思ったり?あとは、ふとしたとき成くんのこと考えてたりするかなー」



「……そっか、そうなんだ」



もしかして、あたし……。