あたしは床に敷いた布団の上でゴロゴロしていた。
成と色羽は、まだテレビゲームに夢中になっている。
――ピリリリリ…。
その時、床に置いてあった成のケータイが鳴った。
「華、俺のケータイ取って」
ゲームに夢中の成は、テレビ画面を見たまま言った。
「あ、うん」
あたしは成のケータイに手を伸ばす。
ケータイの画面を見ると、砂歩からの着信だった。
胸がぎゅっと締め付けられる。
「誰から電話ー?」
ゲームをしながら、成があたしに聞いた。
「……砂歩からだよ」
あたしは成にケータイを渡す。
「さんきゅ」
いつもと変わらない笑顔の成。
あたしがいま、どんな気持ちでいるかなんて、
成はこれっぽっちも気づいてないんだね。
「華、ちょっとゲーム変わって。色羽に負けんなよ?」
そう言って成は立ち上がり、部屋のドアの方へと向かう。
「もしもし?西内?……うん」
――ガチャ……バタン。
部屋のドアは閉まり、成はわざわざ外へと出ていったのか、成の声は全く聞こえなくなった。
「別にさぁ、ここでしゃべればいいのにね?色羽もそう思わない?」
成は、砂歩との電話、あたしたちには聞かれたくないんだね。
いままで誰から電話がかかってきても、普通にあたしたちの前で話してたのに。
こんなこと一度もなかった。
隠し事されてるみたいで、なんか傷つく。
「華も、成と西内のこと聞いたのか?」
色羽がゲームをしながら、あたしに聞いた。