その日の夜。
いつもと変わらず、あたしの部屋には成と色羽がいた。
「うーわっ。色羽、ずる~。でも最後は俺が勝つぜっ」
「あ?成には負けねーし」
成と色羽は、さっきからずっとテレビゲームで対戦している。
その後ろで、床に寝そべるあたしは雑誌を読んでいた。
図書室で砂歩とキス……あんな場面をあたしに見られたというのに、成の様子は全くと言っていいほど、いつもと変わらない。
なんか、ムカつく。
あたしばっかり、なんでこんなモヤモヤした気持ちなわけ?
だんだん腹が立ってきた。
「アハハ……ふざけんなよぉ、色羽ぁ~」
「ふっ。成に負けるわけねーだろ?」
「おしっ!次は勝つからなっ」
「次も俺が勝つし」
ゲームを楽しんでいるふたり。
その後ろであたしは、成の背中を見つめていた。