――キーンコーン、カーンコーン。
下校時刻のチャイムが校内に鳴り響く。
「華、また明日ねっ」
砂歩が手を振って、あたしのそばを足早に通り過ぎていく。
「あ、砂歩……」
あたしが呼び止めると、砂歩は立ち止まり振り返った。
「なぁに?」
成と砂歩のこと、もっと詳しく話聞きたい。
だけど、なんだか砂歩は急いでるように見える。
これからバイトなのかな。
「ううん、なんでもない。また明日ねっ」
「うんっ!バイバーイ」
砂歩は何事もなかったかのように、あたしに手を振って教室を出ていった。
昼休みに図書室で、ふたりが付き合ってることを成から聞かされた。
でもそれで終わりなの?
砂歩から何も説明してくれないなんて、いくらなんでもひどいよ。
なんで成と付き合ってること、あたしに言ってくれなかったのか……とか。
いろいろ聞きたいことだってあるのに。
それとも砂歩は、何かあたしに言いたくなかった理由でもあるのかな。