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午後の授業、なんだか何も頭に入らない。



さっき図書室で見たあの光景が、頭から離れない。



あたしは机に頬杖をついて、成の横顔を見つめる。



成と砂歩が付き合ってたなんて……。



あたしの視線に気づいたのか、成がこっちを向いた。



成は先生に気づかれないように、あたしにベーっと舌を出してイタズラっぽく笑う。



いつもと変わらない成。



あたしだけが、いつもと違う気持ち……。



そんなあたしの様子にすぐに気づいたのは、色羽だった。



“華がウソついても俺、わかるし……”



色羽の席を見ると、色羽は机に突っ伏して寝ていた。



……本当によく寝るよね。



でもテストの成績は、いつもあたしより上だし……本当ムカつくなぁ。



「じゃ、ここの英文を日本語に訳して……望月」



「……あ、はい」



油断していたら、先生にあてられてしまった。



あたしは慌てて教科書に目を向ける。



「えっと……」



「望月、前の黒板に答えを書きなさい」



「……はい」



あたしは席を立ち、前の黒板に向かって歩いてく。