図書室から教室に戻っていく途中、うつむきながら廊下を歩いていると、誰かと肩がぶつかった。
――ドンッ。
「ごめんなさっ……」
「華?」
顔を上げると、肩がぶつかった相手は色羽だった。
「どした?その顔」
「……え?なにが?」
あたしは必死に平静を装う。
「泣きそうな顔してんじゃん。なんかあったのか?」
なんで気づくの……?
「なにもないよ?」
あたしは色羽に笑って見せた。
「なにムリして笑ってんだよ」
気づかないでよ……バカ。
なんでかわかんないけど、泣きそうになる。
「別にムリなんかしてないって……」
色羽は、右手でそっとあたしの頬に触れたあと、おでこにも手をあてる。