図書室に入ると、何人かの生徒が机に座って本を読んでいた。
ざっと見まわしたけれど、砂歩の姿は見当たらない。
左右に並ぶ本棚の間を歩いて、奥の本棚の方へと進んでいく。
いないなぁ……。図書室じゃないのかな?
キョロキョロと左右を見ながら、いちばん奥の本棚までいく。
行き止まりになり、あたしは立ち止まった。
そして左側の本棚の奥を見ると、驚きの光景が目に飛び込んできた。
ちょ、ちょっと……こんなとこで何して……。
そこには、抱き合ってキスをしている男女の生徒がいた。
見てるこっちが恥ずかしくなるじゃん……もぉ。
青春ですね!うらやましいっ!
……って、あたしもニヤニヤしてる場合じゃなかった。
あたしは気づかれないように、静かに去ろうとする。
その時、男の子の横顔がハッキリと見えた。
う、うそ……。
なんで……え?
「な、成……?」
驚きとともに思わず発してしまったあたしの声に、
ふたりはキスを止めて、こっちを向いた。
キスをしていた男女は、
成と砂歩だった――。