部屋の中で逃げ回るふたりに向かって、あたしは枕を何度も投げつける。



「ギャー!」



「アハハッ」



「やめろって」



いままで感じたことのない気持ちだった。



なんであの時……成の息が顔に触れた時。



成の瞳から視線を逸らせなかったんだろう。



心臓の音が大きくなって。

速くなって。



時間が止まってしまったかのように、動けなくなった。



胸の奥がきゅっと締め付けられるような気持ちになった。



あの時の成の哀しげな顔は何だったの……?



いままでに感じたことのない

この気持ちは



一体なに……?