――ガチャ。
部屋のドアが開くと同時に、色羽が少し疲れた声で「ただいま」と言った。
「おかえり~色羽」
あたしは振り返って、色羽に笑顔を見せる。
「バスケしてたん?」
成が聞くと、色羽は「うん」と頷いて床に座った。
「あ、これさぁ。帰りに肉屋のおばさんがくれたんだけど……」
「なになに?」
成が聞くと、色羽は紙袋を差し出す。
「コロッケ。食う?」
「わーいっ!食べるー!」
喜ぶあたしはイスから降りて、床に座った。
紙袋の中を覗いた成とあたしは、コロッケのいい匂いに息を吸い込んで微笑む。
「うまそ~。てか華、まだ食うのかぁ?」
「わ、悪い?」
あたしは成をギロッと睨みつける。
「色羽~。このままじゃ華がブタ華になるぞ。さっき俺が持ってきたお菓子も一気に全部食ってたしー」
「ハハッ。ブタ華。いんじゃね?」
「ちょっと色羽まで、なに笑ってんのよっ」
あたしは色羽の腕をパシッと叩いた。