その時、部屋の向こうから、色羽の声がした。



「こんばんはー」



「いらっしゃい、色羽くん」



色羽とお母さんの会話が聞こえてすぐに、成はあたしの体から離れた。



成はあたしに背を向けて座る。



何事もなかったかのように、成は床に座ってマンガを読み出した。



ちょっと……え?



いまの一体なんだったの……?



あたしは起き上がってイスに座り、机の上の教科書を開いた。



胸のあたりをぎゅっと掴む。



ヤバい……!心臓がバクバクしてる……!