成との約束の時間は、6時。



間に合うはずがない。



その時間、あたしはまだ電車の中だ。



成に電話をしようとケータイを鞄の中から取り出す。



「そうだ……充電切れちゃったんだ……」



こんなときにかぎって充電がなくなるという始末。



今朝、成がくれたメールに対しても、帰るかどうか迷っていたあたしは、返信さえしていなかった。



成は、あたしが帰ってくると思ってくれているだろうか。



6時……約束の時間。



成は家の近くの原っぱで、あたしを待っているのだろうか。



ごめんね、成。



待ってて。



ちゃんと帰るから。



いま向かってるから。



成……お願い。



あたしを待ってて。