砂歩が帰ったあと、部屋を片付けて、普段なかなか出来ないお風呂掃除をしたり、たまっていた衣類を一気に洗濯して外に干した。
いつもと変わらない休日の昼間だった。
まだ成にメールの返事はしていない。
久しぶりに成に会いたい。
でも会うのが少し怖い。
あたしはどこまで臆病なんだろう。
3人が写っている写真立ての前に、今朝とれてしまっていたタンポポのストラップを置いた。
あたしは昨夜の砂歩の言葉を思い出していた。
『伝えたいときに伝えなかったら、きっとまた後悔する』
なんで色羽の夢を見たんだろう。
あれは夢じゃなかった……?
いや、夢だよね。
夢じゃなきゃ色羽に会えるわけない。
目が覚める前、
色羽は最後に
あたしに何て言ったんだっけ……?
『華、もう行け。アイツが待ってる……』
ハッと部屋の時計を見ると、夕方の5時を過ぎていた。
“6時に、家の近くの原っぱで待ってる”
成が待ってる。
伝えたいときに伝えなかったら、きっとまた……。
きっとまたあたしは。
「行かなきゃ」
もう二度と、あんな思いはしたくない。
後悔したくない。
あたしは鞄にお財布とケータイを放りこんで、慌てて家を飛び出した。