「望月先生、お疲れ様」
「お疲れ様です。園長、お先に失礼します」
夕日が沈んだ頃、保育園内の全員の子供たちのお迎えも終わり、今日も1日の仕事が終わった。
保育園から出ると、東の空は紺色に染まり、綺麗な三日月が見えていた。
一人暮らしのアパートに帰る途中、ケータイを鞄の中から取り出す。
あたしのケータイには、タンポポのストラップが2コついている。
色羽が買ってくれた3人おそろいのタンポポのストラップ。
1コは成が持っている。
あたしは自分の分と色羽の分の2コをケータイにずっとつけていた。
ケータイの画面を見ると、砂歩からメールが届いていた。
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華。
今日もお疲れ様ー!
8時ごろまでには
行けると思う。
あとでねー♪
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今日の夜は、あたしの家で砂歩とふたりきりで鍋をすることになっている。
砂歩と会うのは2ヶ月ぶりくらい。
砂歩も高校を卒業して、隣県の大学に進学し、生まれ育った町を出た。
あたしが通った短大と同じ県にある大学を卒業した砂歩は、大学の近くの信用金庫に就職した。
お互いに働いてるから忙しくて、学生の時のように頻繁には会えなくなったけど、
いまも連絡は取り合っているし、こうしてたまにご飯を一緒に食べたりもする。
あたしは帰宅してすぐに部屋を片付け始める。
一人暮らしだと、掃除などの家事は自分でやらなければいけない。
最近はついつい後回しにしてしまって、掃除もサボりがちだった。
部屋の片づけが終わると、時刻は8時ちょっと前。
野菜を切ったりして鍋の準備をして待っていると、砂歩があたしの家にやってきた。