夕日が海に沈んでいく。



「そろそろ帰ろっか、成」



「ん……そだな」



成は先に立ち上がり、あたしに手を差し出す。



その手をあたしは握り締め、砂の上から立ち上がった。



見つめ合い、微笑んだあたしたち。



ゆっくりと手を離し、あたしたちは並んで砂の上を歩いていく。



砂浜に書いた“いろはなる”の文字。



ふたりの足跡。



打ち寄せる波が、少しずつ消していく。



静かな波の音を聴きながら。



あたしたちの



18歳の夏が終わっていく――。