「華……俺と……」



あたしは成の言葉を遮って言った。



「あたしも成のことが好きだったよ……」



あたしの瞳からも涙がこぼれ落ちていく。



「……でも成への気持ちに気づいたとき、成は砂歩と付き合ってた」



「うん……」



あたしは涙を腕で拭った。



「あたしが成のことが好きだって知っても、成のことで傷ついたり、泣いたりしても……色羽はあたしを好きでいてくれたの」



色羽は、いつもあたしのそばで。



泣いてるあたしを抱きしめてくれた。



成を想うあたしを。



そんな色羽に少しずつ惹かれ始めてた。



「色羽が記念日だって言ってたあの日。“6時に原っぱで”あの約束の日……」



あたしたち3人が出逢った日だとは知らずに、あたしは自分の気持ちを伝えることで頭がいっぱいになってた。



「あたしね、あの日……色羽に言うつもりだったの。色羽のこと好きになり始めてるって。だけど……なにも言えなかった……。たった一言も……好きって……言えなかった……」



成への気持ちは、まだ完全に消えてなかった。



それでも色羽に惹かれ始めてる自分に気づいた。



成への想いは。



あたしの初恋は思い出にする。



そして色羽をもっと好きになる。



好きになってく。



そう決めたから。



この想いをあの日、色羽に伝えたかった。