最初からずっと……成はあたしのことを?



『それでも砂歩の告白を成くんは受け入れたの。その理由はハッキリ聞かなくても、なんとなく想像がついてたから』



成は色羽の気持ちに気づいてたから……?



そんな成の想いを、砂歩も気づいてた……?



『ずっとね、成くんを振り向かせたくて……必死だった』



文化祭の前、砂歩が女子たちに危ない目に遭わされたとき、成が砂歩に向かって言った言葉がずっと心の奥で引っかかっていた。



“あいつらに西内のこと傷つけたら許さないとか言って、いちばん傷つけてるのは俺なのにな”



あの言葉の意味が、この時やっと理解できた。



『でもね、もういいんだっ』



『砂歩……』



『成くんの心には、いつも華がいて。それでも成くんが砂歩を選んでくれるなら、そばにいたいって思ってたけど。これ以上もう無理させたくないって思ったから』



砂歩は、ニコっと微笑んだ。



『成くんは、いつだって優しくて、ケンカだって一度もしたことなかった。最後まで優しかった……』



本当にそうなのかな?



成は少しも砂歩のこと思ってなかったの?



あたしには、そんなふうに見えなかったよ。



成は砂歩だから、好きになったんだろうなって。



ふたりはお似合いで、大切に想い合っているように見えた。



そんなふたりの姿を見ていたから、



あたしも時間の流れとともに、ふたりのことを自然と受け入れ始めてた。



『ふたりはあたしのせいで……砂歩……ごめんね……』



『華は悪くないの。華のこと好きな成くんをあきらめられなかったのは砂歩なんだから』



砂歩のこと、幸せそうだなんて。



あたしはなにもわかってなかった。



なにも知らずに砂歩のこと傷つけてたんだ。



『成くんもさぁ、どうせなら、もう大っ嫌い!って思えるくらいに砂歩のこと傷つけてくれればよかったのに……っていうのは冗談。最後まで優しかったから、成くんとのことは幸せな思い出になっていくと思う』



笑顔の砂歩の目には涙が溢れていた。



『だからね、華。もし華が成くんを好きになっても。華が成くんと付き合うことになっても。砂歩は、大丈夫だからね』



『砂歩……』



あたしは泣いてる砂歩を抱きしめた。