「いつまで待つんだ……?」
「色羽が来るまで、ずっと待ってる」
「色羽は、もう来ないっ」
「……来るよ」
「来ないんだよ……わかってるだろ、華……」
華は両手で耳を塞いだ。
「聞きたくないっ!」
「聞けよっ」
俺は傘を放り投げて、華の両手を掴み、耳から手を離させた。
「わかってるだろ?華っ」
「なんでそんなこと言うの?帰ってよ、成。帰って……!」
「俺だってな……こんなこと言いたくねぇよ……」
「いままで色羽は、あたしとの約束破ったことなんて一度もないもん。絶対来るんだからっ!」
「しっかりしろよ!」
俺は大きな声を出し、華の両肩を強く掴んで体を揺さぶった。
「しっかりしろっ……華……っ!」
涙が止まらなかった。
……華。
いままでずっと無理してきたよな。
みんなの前でわざと明るく振舞って、俺の前でさえ強がってた。
周りに心配かけたくなくて、だけどずっと苦しいままだったんだろ?
もう華の心は、
とっくに限界だったはずだ。