一緒に過ごした時間は、俺だって楽しくなかったわけじゃない。



優しい笑顔に癒された。



真っ直ぐな気持ちがうれしかった。



彼女の気持ちに応えたかった。



西内のこと、好きになりたかった。



……それだけは絶対にウソじゃない。



「砂歩……っ」



俺が叫ぶと、彼女は立ち止まり振り返った。



「俺は砂歩じゃなきゃ、付き合おうなんて思わなかった!」



バイトをしてる時も、学校にいる時も。



俺に対しても。



いつも真っ直ぐで。



なんでも一生懸命で。頑張り屋で。



彼女は俺にはもったいないほど、優しくて。



強くて。イイコで。



本当に人として、



憧れる部分がたくさんある女の子だった。